<この記事で紹介している桜スポット>
- 三春滝桜(福島県三春町)悠久の時を超えて咲き誇る“滝桜ファミリーの母”
- 紅枝垂地蔵ザクラ(福島県郡山市)伸びやかな枝ぶりと艶やかな花色が美しい“三春滝桜の娘”
- 五斗蒔田桜(ごとまきたさくら:福島県郡山市)安達太良山を望む丘に咲き誇る“丘の上のビーナス”
- 上石(あげいし)の不動ザクラ(福島県郡山市)赤い屋根の不動堂を華やかに彩るフォトジェニックなしだれ桜
- 水月観音堂桜(福島県郡山市)赤い屋根の観音堂とのコントラストが目を引く穴場的スポット
- 城ノ内古戦場の枝垂桜(福島県本宮市)戊辰戦争時の逸話が残る樹齢250年のしだれ桜
- 合戦場(かっせんば)のしだれ桜(福島県二本松市)青空と菜の花とのコントラストで知られる“三春滝桜の孫桜”
- 福田寺(ふくでんじ)の糸桜(福島県二本松市)三春滝桜の娘で、合戦場のしだれ桜の母と伝わる愛らしい桜
- 大聖寺(だいしょうじ)のベニシダレ(福島県田村市)可憐な花枝をレースのように伸ばした“三春滝桜の子”
- 永泉寺のサクラ(福島県田村市)“三春滝桜の姉妹樹”といわれる樹齢約400年の大木
- 松岳寺のしだれ桜(福島県田村市)赤い屋根の本堂や参道のお地蔵様を彩る枝ぶりのよいしだれ桜
- 壁須のしだれ桜(福島県田村市)安達太良山を望む高台の斜面に立つ“三春滝桜の兄弟桜”
- 大龍寺のしだれ桜(福島県会津若松市)由緒ある会津のお寺に咲く、みずみずしい“三春滝桜の孫桜”
日本三大桜の一つ「三春滝桜」がある福島県田村郡三春町とその周辺(郡山市中田町、田村市、二本松市東部の旧岩代町・旧東和町など)には、見応えのあるしだれ桜が多数点在しています。その中には三春滝桜の姉妹、娘、孫、子孫などとされる桜が多いことも特徴です。
実際、柳沼吉四郎氏と木目沢伝重郎氏という方が昭和39年から10年かけて旧田村郡内を調査し、400本以上の滝桜の子孫の大木を探し当てたという資料も残っています。
有名どころでは郡山市の「紅枝垂地蔵ザクラ」は娘、同じく郡山市の「上石(あげいし)の不動ザクラ」は子孫、二本松市の「合戦場(かっせんば)のしだれ桜」は孫といった具合です。単に福島県内の「しだれ桜めぐり」だと数が多すぎてなかなか大変なので、「滝桜ファミリー」に絞ってめぐってみるのもおすすめですよ。
距離的に近くても日当たりの関係などで開花時期が微妙に異なる場合もあるので、すべてが見頃のときにまとめてまわることは難しいと思います。その時々に見頃を迎えているスポットに足を運び、滝桜ファミリーめぐりをぜひ楽しんでくださいね。
※記事中の見頃は例年のものです。気象条件などにより時期が前後することがありますので、最新情報をご確認のうえお出かけください。
※風雪等による枝折れ、病気等による枝の伐採などにより、樹形が変わることがあります。写真と異なる場合もありますので、ご了承ください。
三春滝桜(福島県三春町)
悠久の時を超えて咲き誇る“滝桜ファミリーの母”
推定樹齢1,000年以上のエドヒガン系ベニシダレザクラの古木。国の天然記念物に指定されており、“日本三大桜”の一つに数えられる、福島県はもとより日本を代表する名桜です。
高さ13.5m、根回り11.3m、四方への枝張り5.5m~14.5mという堂々たる姿。薄紅色の花をいっぱいに咲かせたしなやかな枝が流れ落ちるさまは、その名のとおり滝のようです。
開花時期に合わせてライトアップが行われ、幻想的な夜桜を楽しむこともできます。
■所在地:福島県田村郡三春町大字滝字桜久保地内
■観桜料:500円(中学生以下無料)
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬
■ホームページ
三春滝桜 | Find!三春 【みはる観光協会~福島県三春町】
■MAP
「三春滝桜」のさらに詳しい紹介はこちら!
紅枝垂地蔵ザクラ(福島県郡山市)
伸びやかな枝ぶりと艶やかな花色が美しい“三春滝桜の娘”
三春滝桜の娘といわれる樹齢約400年のしだれ桜です。傍らに建つ地蔵堂が名前の由来で、赤ん坊が夭折の難を逃れるよう地域の人々がお地蔵様に願をかけたと伝わります。
翼のように伸びやかに枝を広げた樹形と濃いピンク色の艶やかな花が美しく、“妖艶”と形容されることも多い名木です。郡山市の天然記念物に指定されており、福島県内の二つの桜番付表「枝垂れ桜花番付」でも「福島県内『1本桜』番付表」でも東の横綱・三春滝桜に次ぐ西の横綱に選ばれています。
三春滝桜より開花が少し遅めなのでタイミング次第ではありますが、車で10分程度の距離なので両横綱一緒にめぐりたいところです。
■所在地:福島県郡山市中田町木目沢字岡ノ内
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
五斗蒔田桜(ごとまきたさくら:福島県郡山市)
安達太良山を望む丘に咲き誇る“丘の上のビーナス”
紅枝垂地蔵ザクラから車で数分、遠く安達太良山を望む丘の上にポツンと咲くしだれ桜です。こちらも三春滝桜の子孫と考えられており、樹齢は約150年とされています。
やや斜めに立つ姿が特徴で、支柱なしで花をたっぷり付けた枝を伸び伸びと広げています。毎年「枝垂れ桜花番付」を作成している郡山観光交通株式会社では、この桜を“丘の上のビーナス”という愛称で呼んでいるそうです。
藩政時代に馬の産地として知られた木目沢地区にあり、桜の下に馬頭観音が祀られているのも風情があります。ぜひ紅枝垂地蔵ザクラとあわせてめぐりたいスポットです。
■所在地:福島県郡山市中田町木目沢字五斗蒔田
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
上石(あげいし)の不動ザクラ(福島県郡山市)
赤い屋根の不動堂を華やかに彩るフォトジェニックなしだれ桜
不動明王を祀る不動堂のそばに立つしだれ桜。樹齢約350年で、こちらも三春滝桜の子孫と考えられています。
郡山市の天然記念物に指定されており、紅枝垂地蔵ザクラとともに人気の高い桜です。郡山観光交通株式会社作成の「枝垂れ桜花番付」では東の大関に選ばれています。
年月を感じさせるごつごつとした太い幹。伸びやかに広げた枝に薄紅色の花をいっぱいに咲かせ、赤い屋根の不動堂を華やかに彩る姿。お堂の下に立って見上げても離れた場所から眺めても絵になる、フォトジェニックな一本桜です。
■所在地:福島県郡山市中田町上石字舘
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
水月観音堂桜(福島県郡山市)
赤い屋根の観音堂とのコントラストが目を引く穴場的スポット
郡山市中田町と田村市の境にある常林寺の観音堂の前に咲く、樹齢約100年のしだれ桜です。大正時代に三春滝桜の種を植えたものと伝わります。
まだ若い桜ですが枝ぶりがよく、赤い屋根の観音堂とのコントラストとあいまって目を引きます。このため桜めぐりをする方が道すがら車を止めて立ち寄ることも多い、穴場的なスポットです(筆者もそのパターンで、「お、きれいな桜」と思って立ち寄ったのがこの桜との出合いでした)。
■所在地:福島県郡山市中田町駒板字表71
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
城ノ内古戦場の枝垂桜(福島県本宮市)
戊辰戦争時の逸話が残る樹齢250年のしだれ桜
幕末の戊辰戦争で60人余りが犠牲になった本宮市郊外の城ノ内古戦場。現在は個人のお宅の敷地となっている高台に、三春滝桜の子孫といわれる樹齢250年のしだれ桜が咲き誇ります。隣にはエドヒガンと思われる桜が並び立ち、背後に残雪の安達太良山が望めます。
戊辰戦争時、このしだれ桜の後ろに逃げて敵の銃撃から助かった人がいたと伝わり、今も桜の幹に銃弾が残っているとか。激動の歴史の証人だと知ると、なおさら感慨深いものがありますね。
■所在地:福島県本宮市糠沢城之内
■駐車場:なし
■例年の見頃:4月中旬
■ホームページ
2023もとみや桜めぐり【桜の開花状況をお知らせ】 - 本宮市公式ホームページ
■MAP
合戦場(かっせんば)のしだれ桜(福島県二本松市)
青空と菜の花とのコントラストで知られる“三春滝桜の孫桜”
青空と半球状の桜、菜の花が織り成す春爛漫の風景で知られる、福島県を代表する桜の名所の一つです。平安時代後期に源義家と阿部貞任・宗任が戦ったとされる丘陵地にあることから、この名がつきました。
一本桜のように見えますが、実は2本のベニシダレザクラが寄り添って立つ夫婦桜です。どちらも樹齢約200年で、三春滝桜の孫桜といわれています。
樹勢回復のため2023年2月に枯れ枝を伐採したことから、枝ぶりが以前より寂しくなっていますが、菜の花との美しい共演は健在です(写真は2022年以前の撮影)。
少し離れた高台の駐車場からは合戦場のしだれ桜を中心に、桜や菜の花が咲き競う“花の園”が一望できて絶景ですよ。
※合戦場のしだれ桜は近年急激に樹勢が衰えてしまい、現在、保存会の皆さんが樹勢回復のための治療を懸命に行っています。掲載写真とは樹形や花付きが変わっており、周辺の菜の花の様子も異なっていますのでご了承ください。合戦場のしだれ桜が少しでも元気になり、また美しい花を咲かせてくれることを心から願っています。
■所在地:二本松市東新殿字大林142番地
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
「合戦場のしだれ桜」のさらに詳しい紹介はこちら!
福田寺(ふくでんじ)の糸桜(福島県二本松市)
三春滝桜の娘で、合戦場のしだれ桜の母と伝わる愛らしい桜
「道の駅さくらの郷」近くにある、福田寺の境内に咲く樹齢約300年のしだれ桜。三春滝桜の娘で、合戦場のしだれ桜の母と伝わります。
その名のとおり、細くしなやかな花枝が糸を垂らしたように地面近くまで伸びた愛らしい桜です。
合戦場のしだれ桜と約1kmしか離れていない場所にありますが、糸桜のほうが開花が遅めです。タイミングが合えば、どちらも見頃の時期にめぐることができますよ。
■所在地:福島県二本松市東新殿字大久保134
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
大聖寺(だいしょうじ)のベニシダレ(福島県田村市)
可憐な花枝をレースのように伸ばした“三春滝桜の子”
大聖寺は三春町との境近く、JR磐越東線・要田駅から車ですぐの県道沿いにあるお寺。本堂に至る石段脇の斜面に推定樹齢250年のベニシダレザクラが立っています。
案内板の説明によると、三春滝桜の子であると言われているそう。薄紅色の花をいっぱいに咲かせた枝を長く垂らした美しい桜で、石段に立って満開の桜を見上げると可憐な花のレースに包まれているように感じます。
田村市の名木の一つ「仲森の紅しだれ桜」へは車ですぐ、三春町の「芹ヶ沢桜」へも車で5分程度なので、あわせてめぐるのもおすすめです。
■所在地:福島県田村市船引町笹山字立石13
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
■MAP
永泉寺のサクラ(福島県田村市)
“三春滝桜の姉妹樹”といわれる樹齢約400年の大木
「小沢の桜」とともに田村市を代表する一本桜の名木です。国道349号沿いの永泉寺境内に立つ樹齢約400年のベニシダレザクラで、三春滝桜の“姉妹樹”といわれています(滝桜は推定樹齢1,000年以上ですから、ずいぶん年の離れた姉妹ですね…)。
根回り4.1mの堂々とした大木で、福島県の天然記念物に指定されています。薄紅色の花が本堂の赤い屋根に映え、とても絵になる優美なしだれ桜です。
桜のわきに白梅の木が数本あり、タイミングが合えば桜と白梅の共演を見ることもできます。この組み合わせがなかなか風情があって個人的にツボです。
■所在地:福島県田村市大越町栗出字長根93-1
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月下旬
■ホームページ
■MAP
松岳寺のしだれ桜(福島県田村市)
赤い屋根の本堂や参道のお地蔵様を彩る枝ぶりのよいしだれ桜
松岳寺は田村市船引町にある、永禄3(1560)年の開基とされるお寺です。境内に咲くしだれ桜は樹齢約350年で、正保元(1644)年、地元住民が三春滝桜の小苗2本を稲荷神社と松岳寺の庭に植えたと伝えられています。
田村市の天然記念物に指定されており、花をたっぷりとつけた枝ぶりが素晴らしい桜です。赤い屋根の本堂や参道に並ぶお地蔵様を美しく彩るさまも風情を感じさせます。
船引町の桜の中では開花が若干遅めです。
■所在地:福島県田村市船引町南移字町94
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月下旬
■ホームページ
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壁須のしだれ桜(福島県田村市)
安達太良山を望む高台の斜面に立つ“三春滝桜の兄弟桜”
県道57号線から少し入った高台の道路沿いの斜面に立つしだれ桜。情報が少ないのですが、樹齢約400年とされ、三春滝桜の“兄弟桜”といわれているようです(こちらもずいぶん年の離れた兄弟ですね…)。
根っこが斜面から剥き出しになっているのが心配ですが、花自体はきれいに咲いています。桜の上の道路からは残雪の安達太良山を望むことができますよ。
■所在地:福島県田村市船引町芦沢字壁須
■駐車場:なし
■例年の見頃:4月下旬
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大龍寺のしだれ桜(福島県会津若松市)
由緒ある会津のお寺に咲く、みずみずしい“三春滝桜の孫桜”
大龍寺は、会津藩初代藩主・保科正之公に従って会津入りした機外禅師が開山した古刹です。NHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公・新島八重の実家である山本家の菩提寺としても知られています。
境内に咲くしだれ桜は、前出の二本松市の福田寺から苗木を譲り受けて50年以上前に植樹されたもの。三春滝桜の娘である福田寺の糸桜の子、つまり三春滝桜の孫桜となります。まだ若く幹も細い桜ですが、枝ぶりが美しく、元気いっぱいに花を咲かせていて見応え十分です。
ちなみにこちらのお寺の本堂には「幽霊の足跡」なるものがあります(残念ながら筆者はまだ見たことがありません…)。さらに境内の小屋には孔雀がいるという、なかなかユニークなスポットです。
■所在地:福島県会津若松市慶山2-7-23
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月下旬
■ホームページ
大龍寺|観光・体験|会津若松の公式観光情報サイト【会津若松観光ナビ】
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