<この記事で紹介している桜スポット>
- 小川諏訪神社のシダレザクラ(福島県いわき市)朱塗りの本殿前に立つ樹齢650年以上の優美なご神木
- 石部(いしべ)桜(福島県会津若松市)根元から幹が10本に分かれたユニークな樹形が特徴
- 戸津辺(とつべ)の桜(福島県矢祭町)早咲きで知られる丘の上の一本桜。電車好きにも人気
- 塩ノ崎の大ザクラ(福島県本宮市)角度によってさまざまな表情を見せる樹齢約600年の大桜
- 秋山の駒ザクラ(福島県川俣町)「八幡太郎駒止めの伝説」が残る樹齢500年以上の巨木
- 天神夫婦桜(福島県郡山市)丘の上に寄り添って立つエドヒガンとしだれ桜の夫婦桜
- 高田桜(福島県石川町)町を見守るように高台に咲く樹齢約500年のエドヒガン
- お伊勢様の鐙摺石(あぶみすりいし)ザクラ(福島県田村市)坂上田村麻呂の伝説を名前の由来に持つ背の高い一本桜
- 岩倉桜(福島県平田村)杉林を背景に薄紅色の花を咲かせる樹齢約500年のエドヒガン
福島県内に多数点在する一本桜の中には、数百年以上の樹齢を誇る古木が少なくありません。その代表格が日本三大桜の一つであり、国指定天然記念物の「三春滝桜」。推定樹齢1,000年以上ですから、平安時代にはすでに三春の地に存在していたことになります。すごいですよね。
歳月を経てなお美しく咲き誇る姿を間近で見上げると、その生命力に圧倒されます。桜が年輪を刻んできた時間の長さを思うと、日々悩んでいることが小さく思えてきて、明日もがんばろうと前を向くパワーをもらえます。
他の古木の桜も同様で、どの桜も生命力とエネルギーを感じさせてくれて個人的に大好きです。ということで今回は、福島県内の樹齢500年以上の一本桜をピックアップして樹齢の順にご紹介します。美しい花や風格漂う幹を心ゆくまで愛で、古木パワーをいただきましょう。
※記事中の見頃は例年のものです。気象条件などにより時期が前後することがありますので、最新情報をご確認のうえお出かけください。
※風雪等による枝折れ、病気等による枝の伐採などにより、樹形が変わることがあります。写真と異なる場合もありますので、ご了承ください。
歳月を経てなお美しく咲き誇る、福島県の「樹齢500年以上の桜」17選<前編>はこちら!
小川諏訪神社のシダレザクラ(福島県いわき市)
朱塗りの本殿前に立つ樹齢650年以上の優美なご神木
小川諏訪神社は、いわき市郊外の小川地区にある鎌倉時代末期創建の神社。本殿の左手前に立つ樹齢650年以上のしだれ桜は、いわき市はもちろん、福島県を代表する名桜の一つです。市内のソメイヨシノよりひと足早く開花して、一帯に春の訪れを告げます。
薄紅色の小ぶりな花をたっぷり咲かせた枝を地面に届くほど垂らした姿は優美そのもの。それだけでも見応え十分ですが、朱塗りの本殿との組み合わせがまた絵になります。
夜はライトアップが行われ、日中の華やかさとはまったく違う妖艶なまでの美しさを見せてくれます。
ちなみにこちらの桜、以前は樹齢500年以上と紹介されていましたが、今年(2025年)いわき市観光サイトを改めて確認したら樹齢650年以上に変わっていました。なんらかの調査をして正確な樹齢が判明したのかもしれませんね。
■所在地:福島県いわき市小川町高萩家ノ前140-1
■駐車場:あり
■例年の見頃:3月下旬~4月上旬
■ホームページ
小川諏訪神社|見る・遊ぶ|いわき市観光サイト - いわき市の観光・旅行情報が満載!
■MAP
石部(いしべ)桜(福島県会津若松市)
根元から幹が10本に分かれたユニークな樹形が特徴
白虎隊自刃の地として知られる飯盛(いいもり)山の北側の農地に咲くエドヒガン。樹齢約650年の堂々とした一本桜で、「会津五桜」の一つに数えられています。
中世会津の領主葦名氏の重臣・石部治部大輔(じぶだゆう)の屋敷の庭にあったと伝わるのが名前の由来。NHK大河ドラマ「八重の桜」のオープニングに登場したことでもお馴染みです。
花の美しさはもちろんですが、石部桜は樹形のおもしろさにいつも見入ってしまいます。根元から幹が10本に分かれた臥龍状の樹形となっており、地を這うように進んでから斜め上に伸びたりと、なんとも不思議な形をしています。枝張りは最大で約20mにも及び、パッと見ると一本の桜だとは信じられないほどです。
雪の重みによってこのような樹形になったともいわれますが、いろいろと想像をめぐらせながら眺めていると時間を忘れてしまいます。
■所在地:福島県会津若松市一箕町八幡石部
■駐車場:あり(飯盛山市営駐車場を利用)
■例年の見頃:4月中旬~下旬
■ホームページ
石部桜|観光・体験|会津若松の公式観光情報サイト【会津若松観光ナビ】
■MAP
戸津辺(とつべ)の桜(福島県矢祭町)
早咲きで知られる丘の上の一本桜。電車好きにも人気
国道118号近くの小高い丘の上に立つ、推定樹齢600年のエドヒガン。樹高18m、胸高周囲6.5mの見事な一本桜で、福島県の天然記念物に指定されています。福島県内で最も早く咲く桜の一つとして有名です。
かつてはこの桜の開花を農作業の目安にしていたそう。桜の下に祠があり、地元の方たちに大切にされてきたことが伺えます。
丘の下をJR水郡線が走っており、桜と電車のコラボを撮影できるスポットとしても人気です。本数が少ないので、電車を入れた写真を狙う場合は時刻表をチェックしておくことをおすすめします。
■所在地:福島県東白川郡矢祭町中石井柵19
■駐車場:あり
■例年の見頃:3月下旬~4月上旬
■ホームページ
「戸津辺の桜」3月31日開花情報ライトアップ開始 | 矢祭町公式ホームページ
■MAP
塩ノ崎の大ザクラ(福島県本宮市)
角度によってさまざまな表情を見せる樹齢約600年の大桜
本宮市郊外、のどかな田園風景が広がる旧白沢村の丘に立つ樹齢約600年のエドヒガンです。
樹高約18m、幹囲約7mというその名のとおりの大桜で、福島県の天然記念物に指定されています。地元では「種蒔き桜」として親しまれ、開花を農作業の目安としてきました。
地域住民でつくる保存会の皆さんが草刈りや施肥をして大切に守っています。種がこぼれて自然に増えたという菜の花との共演を楽しんだり、周辺に咲き誇るソメイヨシノを背景に眺めたり、角度によってさまざまな表情を見せてくれるのも魅力です。
■所在地:福島県本宮市白岩字塩ノ崎
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬
■ホームページ
■MAP
「桜と人の物語」>「塩ノ崎の大ザクラ保存会」の紹介はこちら!
秋山の駒ザクラ(福島県川俣町)
「八幡太郎駒止めの伝説」が残る樹齢500年以上の巨木
川俣町と伊達市月舘町にまたがる女神山の麓の傾斜地に立つ、樹齢推定500年以上のエドヒガン。源義家が駒(兵)を止めたという、「八幡太郎駒止めの桜」伝説がある一本桜です。
樹高約21m、根周り5.4mの堂々たる巨木で、間近で見上げるとその大きさに圧倒されます。幹の下のほうの枝まで淡紅色の小ぶりな花をいっぱいに咲かせ、根元には可憐なカタクリの花が彩りを添えています。
桜の背後の斜面には奇岩「亀の子岩」があるので、あわせてチェックしてみてくださいね(上の写真にもチラ写りしています)。
■所在地:福島県伊達郡川俣町秋山字小長石
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月中旬
■ホームページ
■MAP
天神夫婦桜(福島県郡山市)
丘の上に寄り添って立つエドヒガンとしだれ桜の夫婦桜
三春駒や三春張子を作る職人の集落「高柴デコ屋敷」。その外れにある小高い丘の上に、樹齢約500年の2本のエドヒガンが夫婦のように寄り添って立っています。そのうちの1本はしだれ桜で、こちらのほうが開花が若干遅めです。
桜の下に学問の神様・菅原道真公(天神様)を祀るお堂があるのが名前の由来。小高い上の丘に咲く夫婦桜、桜の下のお堂と、絵になるロケーションが揃ったスポットです。
■所在地:福島県郡山市西田町高柴字福内
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月上旬~中旬
■ホームページ
■MAP
高田桜(福島県石川町)
町を見守るように高台に咲く樹齢約500年のエドヒガン
石川町の中央を流れる北須川・今出川沿いには、“いしかわ桜谷”の名で知られる見事な桜並木があります。その北須川沿いの通りから急な坂道を上った高台の斜面に、町を見守るように静かに佇むのが「高田桜」です。樹齢約500年のエドヒガンで、福島県の天然記念物に指定されています。
幹周りが6m以上と太く、古木らしい堂々とした風格を備えています。幹の養生がなされているものの、薄紅色の花をたっぷり咲かせて元気な姿を見せてくれています。
近くに民家があるので、ご近所の迷惑にならないようマナーを守って観桜してくださいね。
■所在地:福島県石川郡石川町字高田280-1
■駐車場:あり(石川町歴史民俗資料館)
■例年の見頃:4月上旬~中旬
■ホームページ
■MAP
お伊勢様の鐙摺石(あぶみすりいし)ザクラ(福島県田村市)
坂上田村麻呂の伝説を名前の由来に持つ背の高い一本桜
田村市常葉町の集落を走る道路から東に少し入った場所に立つ、推定樹齢500年のエドヒガン。田村市の天然記念物、福島県緑の文化財に指定されています。
坂上田村麻呂が大滝根へと馬を進めていく途中、岩が両側から迫る場所があり、鐙を摺りながらようやく通り抜けると、眼前に桜が見事な花を咲かせて出迎えくれた……という伝説が名前の由来です。
坂上田村麻呂は平安時代の人物なので、樹齢500年だと計算が合いませんが、それはともかく、この桜は樹高25mと背が高く、枝ぶりも見事。杉林を背景に堂々と立つ姿に惚れ惚れと見入ってしまう素晴らしい一本桜です。
■所在地:福島県田村市常葉町早稲川字一本松43
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月下旬
■ホームページ
■MAP
岩倉桜(福島県平田村)
杉林を背景に薄紅色の花を咲かせる樹齢約500年のエドヒガン
国道49号から東に、田畑の中の細い道を数百メートル進むと突如現れる一本桜。樹高約16m、幹周り約6mという樹齢約500年のエドヒガンです。
杉林を背景に立っているので、薄紅色の小ぶりの花の美しさが引き立ちます。枝を伸び伸びと広げた姿は、正面から見ると鳥が翼を広げているかのよう。周辺もよく整備されているので、のんびり観桜できます。
小野町の桜の名所「夏井千本桜」から車で20分弱の場所にあり、同じ頃に見頃となるので、あわせてめぐるのもおすすめです。
■所在地:福島県石川郡平田村鴇子三合
■駐車場:あり
■例年の見頃:4月下旬
■ホームページ
■MAP
歳月を経てなお美しく咲き誇る、福島県の「樹齢500年以上の桜」17選<前編>はこちら!